奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ディーデリックの言葉が信じられないというように、ザフィーラは首を横に振っている。
 まさか、ディーデリックの暗殺未遂を疑われるとは思ってもいなかったのだろう。

「それとも、正妃の差し金か? エルフリーダ殿を殺したのは正妃だそうだからな」
「私がそんなこと――」

 デリアはなおも反論しようとしたけれど、ディーデリックはにやりと笑っただけだった。

「ランセル男爵夫人。サーシウス子爵家の娘だそうだな」

 ディーデリックの口から出てきた名に、デリアははっとしたように固まった。
 エリュシアも、ディーデリックから話を聞いたから知っている。ランセル男爵夫人は、もともとデリアの侍女だった。
 ある程度経験を積んだ侍女もいた方がいいと、ザフィーラの侍女になったのは、数年前のこと。

「ランセル男爵夫人が、毒物を購入したという証言を得た」
「――嘘だ。母上が、そんなことをするはずはない」

 何も言えなくなってしまったザフィーラの代わりに立ち上がったのは、ヴァルスだった。母親をかばおうというつもりはあるらしい。

「いや、本当だ。ランセル男爵夫人の証言も得たぞ」
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