奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「そ、それは! あの女が勝手に!」

 デリアは叫ぶ。ランセル男爵夫人を切り離し、自分は無実だと主張したいらしい。呆れた様子で首を振り、ディーデリックは国王の方に目を向けた。

「クラニウス王国では、正妃の他、側妃を持つ者が多いそうだな。そのやり方自体は否定しないが――正妃は、エルフリーダ夫人だけを目の敵にした。なぜかわかるか?」

 ザフィーラやデリアを相手にしていた時のような鋭さは、ディーデリックの声音から失われていた。静かに語りかけるその口調に安堵したのか、国王は首を横に振る。

「母だけ平民だったから。母は帝国人で、後ろ盾がなかったから。だから、母には、何をしてもいいと思っていたそうですよ」

 エリュシアはそっと口を挟む。
 最期まで守れないのなら、父には、母とエリュシアを自由にして欲しかった。いや、最初から母を王宮に招かないでほしかった。

「と、当然でしょう? あのような、野蛮な……平民なんか、王家にふさわしくないわ!」
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