奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 小さく囁くと、彼は振り返った。エリュシアの表情を見て、彼の目に優しさが戻る。

「君がそう言うのなら」

 そして、国王に向き直る。

「ただし、条件がある。この国の統治は、当面帝国が管理させてもらう。新たな国王は、帝国が認めた者のみ。異論はないな?」

 実質的な属国化だった。
 だが、王家の罪を考えれば、これでも寛大な処置と言えるだろう。
 すでに国を出ている兄姉達に、これ以上の復讐をするつもりはない。
 それぞれの婚家での扱いは悪くなるだろう。それで充分だ。
 そもそも、デリアの産んだ子供達以外は、エリュシアの悪口を言っても、実際に殴ったり蹴ったりしてくることはなかった。実際に手を出してきたのは、ヴァルスとザフィーラだけ。
 母の暗殺にも関わっていなかったし、エリュシアに暴力をふるうこともなかった。
 ならば、こちらからもこれ以上関わらない。

「……承知、いたしました」

 国王は、力なくうなずいた。
 母の仇は討たれ、自分を苦しめた者達への復讐も果たされた。
 だが、なぜかエリュシアの心は完全には晴れなかった。
< 247 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop