奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 復讐は、思っていたほど甘くはない。母の死の真相を知ってすっきりはしたけれど、どこか満たされないような気持も残っている。

「処刑に立ち会うか?」
「……いいえ。でも、その前にあの人と話をしてみたいと思います」

 デリアの処刑は、近いうちに行われることになった。だが、処刑に立ち会うつもりはない。それよりは、彼女に聞きたいことがある。

「……本当に会うのか? 君が傷つくだけだぞ」
「それでも、です」

 ディーデリックは気遣ってくれたけれど、エリュシアはデリアとの面会を求めた。
 デリアとは、顔を合わせる機会すらほとんどなかった。彼女は、母のことをどう思っていたのだろう。
 彼女と話をしたら、このどこか満たされないような気持ちも解消するだろうか。

 処刑を数日後に控えたデリアは、王宮の地下牢に収監されていた。
 エリュシアは、兵士の先導で石造りの薄暗い通路を歩いている。地下は空気がひんやりとしていて、マントを羽織っていても、冷気が忍び寄ってくる。

(……本当に、会いに来てよかったのかしら)

 自分で会うと決めたはずなのに、こんなところで迷いが出てくる。

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