奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「でも、来たでしょう? 平民の分際で、王の寵愛を受けて、子供まで産んで」

 デリアの声に、長年の嫉妬と憎悪が込められていた。

(……この人は、母を憎み続けていたのね)

 デリアの方が、圧倒的に恵まれていただろうに。それでも、母に対する嫉妬は捨てられなかったらしい。

「なぜ、他の側妃は殺さなかったんですか?」
「他の人達は、高貴な血筋ですもの。それに――」

 デリアは立ち上がり、格子に近づいてきた。

「あの女だけが特別だったのよ。陛下の目の輝き方が違った。まるで、本当に愛しているかのような」

 本当にそうだろうか。
 母が生きていた頃でさえ、あの男が離宮を訪れる回数は少なかった。
 もしかしたら、デリアはそう思いたかっただけなのかもしれない。ザフィーラが生まれて以来、国王は正妃のもとを訪れなかったようだから。

「それが、殺す理由になるんですか?」
「なるわよ!」

 デリアが叫んだ。

「私は正妃なのに! なのに、平民の娘に夫を奪われるなんて!」

 エリュシアは、ため息をついた。結局、嫉妬だったというわけか。そこに、平民の母に対する見下しが加わったのだろう。
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