奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 貴族に手を出さなかっただけ理性があったといえばそうなのかもしれないが、母とエリュシアにとっては、たまったものではない。

「母は、あなたから何も奪いませんでした。離宮でひっそりと暮らしていただけです」
「でも、陛下は私のところには来なくなった。あの女のせいで」
「それは、母のせいではないわ」

 隣の牢から、すすり泣く声が聞こえてきた。ザフィーラだ。
 彼女もまた、晩餐会の時に着ていたドレスのままだった。

「お母様……お母様……」

 彼女も、近いうちに追放される。二度と、この国の土を踏むことはできない。
 王女として育てられたザフィーラが、ごくわずかな身の回りの品だけ持たされて追放される。市井での生き方を知らない彼女がどこまで生きていけるのだろう。
 だが、エリュシアが彼女を心配してやる必要はない。

「あの人も、毒を使うなんて思いつかなければ、王位継承権のはく奪ですんだでしょうに」
「あの子は悪くない! あの子は――悪くないの! すべて、私の罪だわ!」

 ザフィーラの声が聞こえてきた方角に目を向ければ、デリアは鉄格子に縋りついた。
< 252 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop