奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 自分の娘のことは、大切に思っているらしい。

「あなたが、彼女にどんな教育をしたか、よくわかりました。平民を見下し、気に入らない者は排除してもいいと教えた。そうでしょう?」
「……」

 母を殺したのが後ろめたいのか、デリアは視線をそらした。鉄格子を掴んでいる手だけはそのままだ。

「母は、誰のことも悪く言いませんでした。あなたのことさえも」
「嘘よ」
「本当です。私が『正妃様は意地悪だ』と母に泣きついた時、母は私を諭しました。『正妃様も、お辛いのでしょうね』と」

 デリアの目が、わずかに揺れた。

「母は、あなたの気持ちもわかっていたのでしょう。でも、だからといって私達を憎んでもいいという理由にはならないわ」

 母は、離宮で何を考えて暮らしていたのだろう。
 望んでの婚姻ではなかったと思う。
 夫となった人は頼れずに、周囲からは冷たい目を向けられ、籠の中の鳥のように王宮に囚われて。許されたのは、魔道具を開発したことだけ。
 けれど、エリュシアとの生活では、つらそうな顔なんて見せなかった。
 母が生きていた頃は幸せだったと思えたのは、母がエリュシアを慈しんでくれたからだ。

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