奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「あなたは、母から多くのものを奪いました。命を、娘との時間を、幸せを――でも、一つだけ奪えなかったものがあります」
「何よ」
「私への愛です。母の愛は、今でも私の中に生きています。あなたには、それを奪うことはできませんでした」

 母は、自分の死が近いと知った時、エリュシアの保護をシャリーンに頼んでくれた。数少ない伝手を使って、何年もかけて。
 エリュシアは、愛されていることを知っている。

「……私だって、愛されたかった」

 ぼつりとデリアはつぶやいたけれど、あまりにも遅かった。もっと早く、国王にそう告げていたら、何か変わったかもしれない。
 いや、それはどうだろうか。あの男のことだから、デリアを疎んじたかもしれない。
 でも、エリュシアは知っている。自分から踏み出さなければ、何も変わらない、と。

「いやよ! 追放なんて嫌!」

 背後からザフィーラの泣き叫ぶ声が聞こえてきたけれど、エリュシアは取り合わなかった。自分で選んだ行動の結末だ。自分で責任を取るべきだ。

「……エリュシア」

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