奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
重苦しい扉が軋む音を立てて開く。
ドミニクを魔道具師ギルドの職員達に任せて向かった皇帝の執務室は、分厚い絨毯と整然と並べられた書棚に囲まれ、威圧的な雰囲気だった。
ディーデリックに続くエリュシアもまた、緊張を隠せずにいた。一度目の人生、ここに来る機会はなかった。
初めて入るこの場所に、足がすくみそうになる。
入口の真正面にあるデスクに座っていた皇帝は、動じた気配などまったく見せなかった。腰を浮かせる素振りもなく、ただ、足を組み替えただけ。
ディーデリックは一歩、また一歩と進み、腰を下ろしたままの皇帝を睨みつけた。
「――殿下!」
執務室に乱入してきたディーデリックに、皇帝と共に仕事をしていた宰相が険しい目を向ける。
「証拠を手に入れた」
ディーデリックが机に叩きつけたのは、鈍く青白い光を放つ石。魂の移植石。
さらに、長い名簿。そこには、皇宮を去ったとされる側妃室達の名が記されていた。
どんな魂が効果を発するのか、魂を融合するにはどんな時間帯がいいのか、ドミニクは記録を残していた。この三十年の間に失われた側妃は十名。皆、皇帝の犠牲となったものだ。
ドミニクを魔道具師ギルドの職員達に任せて向かった皇帝の執務室は、分厚い絨毯と整然と並べられた書棚に囲まれ、威圧的な雰囲気だった。
ディーデリックに続くエリュシアもまた、緊張を隠せずにいた。一度目の人生、ここに来る機会はなかった。
初めて入るこの場所に、足がすくみそうになる。
入口の真正面にあるデスクに座っていた皇帝は、動じた気配などまったく見せなかった。腰を浮かせる素振りもなく、ただ、足を組み替えただけ。
ディーデリックは一歩、また一歩と進み、腰を下ろしたままの皇帝を睨みつけた。
「――殿下!」
執務室に乱入してきたディーデリックに、皇帝と共に仕事をしていた宰相が険しい目を向ける。
「証拠を手に入れた」
ディーデリックが机に叩きつけたのは、鈍く青白い光を放つ石。魂の移植石。
さらに、長い名簿。そこには、皇宮を去ったとされる側妃室達の名が記されていた。
どんな魂が効果を発するのか、魂を融合するにはどんな時間帯がいいのか、ドミニクは記録を残していた。この三十年の間に失われた側妃は十名。皆、皇帝の犠牲となったものだ。