奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 剣を下ろしたディーデリックが、深く息を吐きながら床に倒れた皇帝に視線を向けた。

「……かつてのあなたは、偉大な皇帝だったのかもしれない。だが、あなたは、間違えたんだ。人として、やってはならないことをした」

 そうつぶやくディーデリックの声は、皇帝の耳には届いていないだろう。数回、床の上でひくついた皇帝の指先は、力を失った。

(……終わった……終わったのね……!)

 ディーデリックは今、どんな気持ちなのだろう。かける言葉を持たなくて、エリュシアはただ、彼の顔を見上げていた。

「……終わったな」

 二人の視線が交わったけれど、これ以上の言葉は出ない。
 口を開こうとし、視線を合わせ、そしてふたりとも口を閉じて視線をそむけてしまう。
 全てが終わった。
 それはわかっているが、大きな目標を果たした今、どうすべきなのかが出てこない。

「――殿下」

 皇帝とディーデリックが激しい戦いを繰り広げている間、部屋の隅に転がっていた宰相が、恐る恐る立ち上がる。

「これは、いったい……」
「あとで説明する。ゆっくりと」

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