奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 魂の移植石の他、他にも開発していた魔道具もあったのだが、あまりにも非道なものばかりだった。
ドミニクの名は、警告として残されるだろう。魔道具師としての道を外れた愚か者の末路として。
 離縁して実家に戻ったということにされていた側妃達を始めとした被害者達の遺族には、慰謝料を支払って償いとした。
 金銭では償いにはならないだろうが、せめてもの気持ちだとディーデリックは語っていた。

「……エリュシア。支度はできたか?」
「ディーデリック様!」

 こちらも白の正装に身を包んだディーデリックが、エリュシアの方に歩み寄ってくる。
 彼のこういう姿を見ると、胸がいっぱいになってしまう。
 戻ってきた経緯を考えれば、なおさらだ。

「ええ、ちゃんと準備できています」

 こちらに歩み寄ってきたディーデリックは、座ったままのエリュシアの肩に手を置いた。そのままじっと鏡に映ったエリュシアを見つめている。
 エリュシアも、前の鏡に目を戻した。見返してくるのは、最高に幸福な花嫁だ。

「……愛してる」

 鏡越しに伝えられた愛の言葉。思えば、彼が真正面から愛の言葉を告げてくれたのは初めてかもしれない。
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