奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ある日突然母は血を吐き、それから一週間もたたないうちに亡くなった。
 母を診察してくれた宮廷医は病気だと言っていたが、あまりにも進行が速い気がしてならない。

「お母様が毒を飲まされたのだとしたら、私もいつ毒を盛られるかわからないでしょう……? だから、逃げ出したいと思ったの」

 姿変えの魔道具を用いて、『エリア』という平民として魔道具師ギルドには登録してある。
 これは身分を示すものでもあるから、王宮から遠く離れれば生活していくこともできるのではないかとエリュシアは話を続けた。
 トーマスに連絡を取ろうとしたのは、帝国に渡って、彼の商会に魔道具を下ろす魔道具師になれないかと相談したかったから。

「……許せませんな」

 エリュシアの言葉を聞いたトーマスは、膝に拳を打ち付けた。
 今まで商人らしくふるまっていた彼が、露骨に怒りを見せている。

「……お助けします」
「でも、トーマスさんに迷惑をかけてしまうわ。私が逃げて、そして無事にどこかで暮らせるようになったら、私の魔道具を取り扱ってもらえるだけでも……」
「いいえ、お助けします」

 きっぱりとトーマスは言い放った。
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