奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 家族――そう言っていいのだろうか――の言葉を聞きながら、エリュシアは身を震わせた。
 母が亡くなって以来、父は離宮を訪れることはなかった。
 エリュシアのことなんて、忘れてしまったと思っていたのに。だが、存在を思い出して、そして呼び出したというところか。

「しかし、みっともない服装だな」

 父が、エリュシアの服装を見て顔をしかめる。手持ちの中で一番いいドレスを身に着けてきたつもりが、彼らの目には貧相に映ったようだ。

「あなた、まともなドレスも持っていないの? お父様と会うのは久しぶりなのでしょう?」

 ザフィーラが、エリュシアに嘲るような目を向ける。
彼女は、エリュシアの目から見ても見事なドレスをまとっていた。鮮やかなピンク。レースがたくさん使われていて、華やかだ。

(……いいドレスを着てきたと思っていたのに)

 マルタが、エリュシアに与えられた予算を着服してしまっているため、身なりを整えるのも難しい。手持ちの中で一番ましなものを選んだつもりだが、それでも父と対面するには貧相だったようだ。
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