奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 どうせ後宮に迎えるのならば、隣国の皇帝だって、エリュシアより父に大切にされているザフィーラの方が嬉しいだろうに。

「なに、まだ結婚していない娘がいただろうとしか言われていないからな。ザフィーラは、使者が到着する数日前に結婚した。そういうことにしておけば、問題あるまい」

 そう言って笑う父は、自分の行動にまったく疑問を覚えていないようだった。エリュシアを見る目も、娘に対するものではない。

「……こいつなら、死んでも惜しくはないしな」
「あら、そんなに早く死なれては困るわ。帝国との間に、平和を築いてもらわなくてはならないのですから」

 ヴァルスの言葉に重ねるようにして笑ったデリアは、扇越しにじっとエリュシアを見つめる。いや、睨まれている。
 彼女の視線に身の置き所がなくなったような気がして、エリュシアはますますうつむいた。

「出発は一週間後だ。花嫁衣装などを仕立てる時間はないが、先方もそれでいいと言っている」
「陛下。衣裳部屋には使われていない品がたくさんありますわ。それらを持っていけば充分でしょう。品質としては、充分ですわ」

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