奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 くすくすと笑いながら、デリアはこちらを見ている。
 王家からの援助を受けられない場合、母方の生家からの援助を受けるものらしい。だが、エリュシアの母は、隣国の平民だ。
 母の実家からの援助なんて受けられるはずもない。王宮の衣裳部屋に押し込められていた品々であっても、与えられるだけありがたいと思うべきなのかもしれなかった。
 こうしてエリュシアの、アストリア帝国行きが決められた。
 旅立ちまでの間の一週間、あちこちからかき集められたらしい使用人達が、お古のドレスを補正し、エリュシアの身体になんとか合わせてくれた。
 宝石は、母のものしかなかったが、それらはマルタに奪われて手元にない。そう主張したけれど、取り返すのは不可能だと言われた。
 マルタは伯爵家の出身らしく、本来ならばエリュシアの世話をするような身分ではないらしい。

「申し訳ないのですが、伯爵家の方には逆らえませんから……」

 と、侍女達に頭を下げられてしまえば、それ以上はエリュシアからも言えなくなってしまった。
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