奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 身分の差というのは、どうしても存在する。魔道具にはマルタも手をつけなかったから、小さなものを形見として持っていくことにした。

(必要なものは、あちらで用意してもらうしかないわね……)

 隣国へと向かう馬車の中、エリュシアはそんな風に考えていた。
 実のところ、少し期待していなかったわけではないのだ。
 隣国の皇帝は、もう六十代だという。そんなに年上ならば、もしかしたら父と娘のような関係になれるのではないか、と。

 だが、その期待はあまりにも的外れなものだった。
 数週間の旅を続け、ようやく到着した帝国の宮殿。
 初めて顔を合わせた皇帝は恐ろしかった。
 六十代だと聞いていたのに、エリュシアの父よりよほど若いように見えた。まだ、三十そこそこと言っても通じてしまうほどに。
 エリュシアの顔を見るなり、彼は言い放った。

「顔はまあまあだが、貧相な小娘だな。まあいい。離宮にでも押し込めておけ」

 生家でも、嫁いでも。エリュシアは離宮での暮らしを要求されるらしい。

(……貧相な小娘、ね……)

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