奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 顔立ちだけは美しいという母のものを受け継いでいるが、しばしば食事を抜かれるエリュシアはたしかにやせ細っている。栄養が足りないのだ。

(……今までと変わらないってことよね)

 ならば、静かに暮らすことにしよう。諦めるのには慣れている。

 与えられた離宮は小さくて、質素なものだった。
 だが、ここにはエリュシアに意地悪をする人はいない。
 大切にされていると言えるほどではなかったけれど、使用人達は最低限の敬意をエリュシアに払ってくれた。
 きちんと世話をしてくれたし、エリュシアに与えられた予算が着服されることもなかった。
 日が昇る頃に起きて、洗面と着替えを済ませたら、朝食ができるまでゆっくりと読書。
 朝食を取ったら、涼しいうちに少し散歩。
 戻ってきたら、母国から持参した母の工具を使って魔道具を作ってみたり、魔道具の勉強をしたり。
 使用人達は積極的にエリュシアに関わろうとしたわけではないが、何をしてもそっとしておいてくれるのがありがたかった。
 誰にも邪魔をされない生活は、ぎすぎすとしていた心を慰めてくれた。
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