奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
次にディーデリックと顔を合わせたのは、エリュシアが中庭でティータイムを楽しんでいた時だった。
本来ならば、友人を招いての茶会になるのだろうが、離宮から出ることを許されないエリュシアに友人はいない。
ティータイムは、側についている侍女をのぞけば一人きりだ。侍女に同席を頼んだこともあったけれど、それは断られた。
「エリュシア殿……いや、側妃殿下」
エリュシアに『殿』と呼びかけてしまい、それから相手が一応父の妃となった女性であることを思い出したようだ。
この国では正妃のことは『皇妃陛下』、側妃のことは『側妃殿下』と呼ぶのが決まりだ。それは、皇太子であるディーデリックも変わらないようだ。
「このようなところで……」
「今日はお花が綺麗だったので。もうすぐ、薔薇の季節も終わってしまうでしょう?」
最盛期には、薔薇の香りでむせかえるのではないかと思うほどの濃厚な香りが漂っていた庭園は、今やふわりふわりと風に乗って香りが流れてくる程度だ。
「そう……だな。そうか、もう薔薇は終わりの季節なのか」
エリュシアが嫁いでひと月半。
本来ならば、友人を招いての茶会になるのだろうが、離宮から出ることを許されないエリュシアに友人はいない。
ティータイムは、側についている侍女をのぞけば一人きりだ。侍女に同席を頼んだこともあったけれど、それは断られた。
「エリュシア殿……いや、側妃殿下」
エリュシアに『殿』と呼びかけてしまい、それから相手が一応父の妃となった女性であることを思い出したようだ。
この国では正妃のことは『皇妃陛下』、側妃のことは『側妃殿下』と呼ぶのが決まりだ。それは、皇太子であるディーデリックも変わらないようだ。
「このようなところで……」
「今日はお花が綺麗だったので。もうすぐ、薔薇の季節も終わってしまうでしょう?」
最盛期には、薔薇の香りでむせかえるのではないかと思うほどの濃厚な香りが漂っていた庭園は、今やふわりふわりと風に乗って香りが流れてくる程度だ。
「そう……だな。そうか、もう薔薇は終わりの季節なのか」
エリュシアが嫁いでひと月半。