奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 その間に、少しずつ深い会話をするようになっていった。
 エリュシアは知らなかったのだが、皇帝は極悪な人間なのだそうだ。重税を課し、気に入らない者は首を刎ねる。
 側妃を多数後宮に抱えてはいるものの、一度も訪れないまま放置している側妃もたくさんいるらしい。彼女らを養うためにも、多額の金銭が必要なのだそうだ。
 おまけに、しばしば周辺諸国に侵攻している。その度に領土は広くなり、帝国は勢力を増やしているものの、労役を強要され、重税を課され、繁栄の裏で苦しんでいる民は多い。
 父の行動が間違っていると判断したディーデリックは、仲間を集めて、皇帝からその地位を奪おうとしていた。
 だが、まだ二十歳そこそこのディーデリックと、三十年以上の間帝国の頂点に君臨していた皇帝の間には、明確な差があった。
 その差を埋めるのは容易なことではなく、ディーデリックは皇帝の目に留まらないように注意を払いながらも、あちこち走り回っているようだ。
 そんな中、時々エリュシアと、午後のお茶の時間を共に過ごす。それだけが二人の繋がりだった。
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