奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「ありがとう。食器は厨房に戻しておくから、あとは好きにしていいわ。夜の食事も、自分で取りに行くから、厨房に置いておいてもらえるかしら」
「それでしたら、今後ずっとそうしてもらえませんか? ここまで食事を運んでくるのも、結構な重労働なんですよ」
「……ええ」

 どっちにしろ、もうこの離宮からはいなくなるのだ。どちらでも構わない。
 エリュシアがうなずくと、マルタはにこにことしながら出て行った。間違いなく、部屋に戻って昼どころか朝から酒を呑むのだろう。
 このところ、時々手が震えているのにも気づいていた。飲み過ぎる者に見られる症状だ。この先、彼女の未来は明るいものではなさそうだ。
 運ばれてきた朝食を食べ終えてから、食器を厨房に持っていく。厨房の料理人が驚いたような表情になった。

「どうしたんですか?」

 エリュシアがここに来たのを警戒するような顔。エリュシアはおどおどと、申し訳なさそうな表情を作ってみせた。

「マルタが……食事ぐらい自分で運びなさいって。これからは、朝食も、夕食も自分で取りに来るわね……」
「……そうか」
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