奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 窓を大きく開け放ったまま、こっそり離宮から出かける時に使っていた裏門から街へと出ていく。
 その途中、周囲に人気がないのを確認してから、途中の川にドレスを放り込む。この川は、帝国へと続いている。
 何食わぬ顔で商人ギルドへ。トーマスを呼び出すと、ホッとした顔で出てきてくれた。

「トーマスさん、無事に脱出できたわ!」
「お待ちしておりました。すぐに出ましょう」

 エリアとしての身分証は、魔道具師ギルドで用意済み。何かあっても、これを見せれば大きな問題にはならないはず。
 トーマスの隊商は、何台かの馬車を連ねて帝国へと向かうものだった。
 護衛につくのは、なじみの冒険者達。それから、隊商に参加するトーマスの部下達の中にも、腕利きの者を選んで付き添わせているのだそうだ。
 エリュシアは、帝国で売る魔道具の素材の間に座り込んだ。姿変えの魔道具は、今日もきちんと作動している。

「エリアちゃん、そんなところでどうしたのさ?」

 と声をかけてきたのは、護衛の冒険者である。他の人とは別に、荷物の間にいるエリュシアが気になったらしい。エリュシアは、両腕を広げた。

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