奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「大切な素材です。私が使うものもあるし、帝国で売るものもあるんです。ちゃんと見張っておかなくちゃ」

 なるほど、と納得した様子で彼は頭をひっこめた。
 荷物の間に膝を抱えて座ったまま、エリュシアは大きく息をついた。

(……このまま、王都を出られればいいけれど)

 この道を通るのは、二回目だ。
 一度目は、馬車の外に出ることすら許されなかったけれど、今回は街に宿泊する度に、トーマスの選んだ従者付きであれば、あちこち見て回っていいそうだ。
 トーマスはエリュシアのことを、知人から頼まれた『箱入り娘の魔道具師エリア。帝国には修業に行く』と他の人達には伝えている。
 自分ではなかなか庶民のつもりだったが、やはり本物の庶民とはどこか立ち居振る舞いが違うらしく、貴族の庶子あたりだろうということで納得されているようだ。
 そして、丸一日が過ぎた。心配していた国境もあっさり越え、帝国に入ることができた。
 そこからさらに二週間の旅をして、最終的には皇都に入る。途中で宿泊し、商品を売ったり買ったりしていたので、真っすぐに進めばもっと早く到着する。
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