奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
エリュシアは、ひとまずトーマスの屋敷に招かれた。
「まあまあ、主人ってば急にお客様を連れてくるなんて」
と、トーマスの妻は驚いた様子だったけれど、王国より帝国の方が、魔道具についてははるかに進歩し、理解されているために、『帝国に修業に来た魔道具師』という設定で納得してくれた。
そんな騒ぎをへて屋敷に入り、ようやくトーマスは肩から力が抜けた様子を見せた。
「国境ではさすがにひやひやしましたよ。ところで、離宮にはどんな手紙を遺したのですか?」
「マルタにお母様の形見を奪われたって。食事も自分で運ぶよう命じられて絶望したって書いておいたわ」
正確に言えば、母の形見の中でも魔道具や残された設計書、素材等は奪われたわけではない。こっそり持ち出してトーマスに預けておいたが、工房が空っぽなのに理由が必要だったのだ。
宝石盗難だけでも罪には問える。いや、国王が側妃に与えた宝石を盗んだ罪の方が、魔道具を盗んだ罪よりずっと重い。
大切なのはマルタが仕事を放棄し、エリュシアが受け継ぐべきだった母の遺品を奪ったということだ。
(……きっと、あの人は激しく怒るのでしょうね)
「まあまあ、主人ってば急にお客様を連れてくるなんて」
と、トーマスの妻は驚いた様子だったけれど、王国より帝国の方が、魔道具についてははるかに進歩し、理解されているために、『帝国に修業に来た魔道具師』という設定で納得してくれた。
そんな騒ぎをへて屋敷に入り、ようやくトーマスは肩から力が抜けた様子を見せた。
「国境ではさすがにひやひやしましたよ。ところで、離宮にはどんな手紙を遺したのですか?」
「マルタにお母様の形見を奪われたって。食事も自分で運ぶよう命じられて絶望したって書いておいたわ」
正確に言えば、母の形見の中でも魔道具や残された設計書、素材等は奪われたわけではない。こっそり持ち出してトーマスに預けておいたが、工房が空っぽなのに理由が必要だったのだ。
宝石盗難だけでも罪には問える。いや、国王が側妃に与えた宝石を盗んだ罪の方が、魔道具を盗んだ罪よりずっと重い。
大切なのはマルタが仕事を放棄し、エリュシアが受け継ぐべきだった母の遺品を奪ったということだ。
(……きっと、あの人は激しく怒るのでしょうね)