奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
父は、エリュシアにはまったく興味がなかったが、使用人がエリュシアの持ち物を奪ったのは王家を馬鹿にしていると怒るに違いない。
彼はそういう人なのだとエリュシアは知っている。
――そして、もうひとつ。
エリュシアは絶望したと書き残し、誰にも見られることなく離宮を離れた。
途中の川に身に着けていた服を放り込んでおいたし、これで死を偽装できたはず。
となれば、マルタの未来は真っ暗である。まだ売られていなかった分は取り戻したとはいえ、母の形見を盗んで売り払ったのだから、そのぐらいの報復はあってもいいはずだ。
「それで、エリュシア様。これから、どうなさるおつもりで?」
「『エリア』として生きていくわ。トーマスさん、ここまで連れてきてくれてありがとう」
トーマスのおかげで、皇都まで来ることができた。
平民となった今、ディーデリックとは会えない。だが、少なくとも、彼と同じ都市で生きていくことはできる。
(……ディーデリック様)
心の中でだけ、彼の名を呼ぶ。
どうか、彼が元気でいてくれますように。エリュシアは、ここで生きていく。
彼はそういう人なのだとエリュシアは知っている。
――そして、もうひとつ。
エリュシアは絶望したと書き残し、誰にも見られることなく離宮を離れた。
途中の川に身に着けていた服を放り込んでおいたし、これで死を偽装できたはず。
となれば、マルタの未来は真っ暗である。まだ売られていなかった分は取り戻したとはいえ、母の形見を盗んで売り払ったのだから、そのぐらいの報復はあってもいいはずだ。
「それで、エリュシア様。これから、どうなさるおつもりで?」
「『エリア』として生きていくわ。トーマスさん、ここまで連れてきてくれてありがとう」
トーマスのおかげで、皇都まで来ることができた。
平民となった今、ディーデリックとは会えない。だが、少なくとも、彼と同じ都市で生きていくことはできる。
(……ディーデリック様)
心の中でだけ、彼の名を呼ぶ。
どうか、彼が元気でいてくれますように。エリュシアは、ここで生きていく。