奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
傷の舐め合い。そう言われてしまえばそれまでかもしれなかったけれど、彼女と過ごす時間が、父から権力を奪うという野望を抱えたディーデリックの心を慰めてくれた。
手に触れたことさえなかった。
それなのに、いつからだろう――離宮から連れ出してやりたいと思うようになったのは。
張り付けた笑みではなく、心の底からの微笑みを見たいと思うようになったのは。
――そして、あの日。
その日は、離宮に行く予定はなかったのに不吉な予感が胸を騒がせた。遠くからでいい。エリュシアの顔を見られればそれでいい。
そう思って訪れた離宮で、エリュシアの胸を刃が貫くのを見た。
短剣を握っていたのは父だった。
なぜ、父がずっと放置していたエリュシアに刃を向けたのかはわからない。
地面に崩れ落ちた姿。彼女の遺体を見下ろして笑っていた父。
飛び出して、父に切りかかろうとしたところで弾き飛ばされた。今まで見たことのない恐ろしさを秘めた父の表情。
体力ではディーデリックの方が勝っているはずなのに、彼にかなわなかった。
剣を打ち合わせ、重傷を負わされ――そして、逃げ出すしかなかった。
手に触れたことさえなかった。
それなのに、いつからだろう――離宮から連れ出してやりたいと思うようになったのは。
張り付けた笑みではなく、心の底からの微笑みを見たいと思うようになったのは。
――そして、あの日。
その日は、離宮に行く予定はなかったのに不吉な予感が胸を騒がせた。遠くからでいい。エリュシアの顔を見られればそれでいい。
そう思って訪れた離宮で、エリュシアの胸を刃が貫くのを見た。
短剣を握っていたのは父だった。
なぜ、父がずっと放置していたエリュシアに刃を向けたのかはわからない。
地面に崩れ落ちた姿。彼女の遺体を見下ろして笑っていた父。
飛び出して、父に切りかかろうとしたところで弾き飛ばされた。今まで見たことのない恐ろしさを秘めた父の表情。
体力ではディーデリックの方が勝っているはずなのに、彼にかなわなかった。
剣を打ち合わせ、重傷を負わされ――そして、逃げ出すしかなかった。