奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 広い皇宮をなんとか逃げ、身を潜めたのは宝物庫。
 そして目についたのが、時戻りの宝玉だった。
 一度だけ、時を戻せるという秘宝。
 これを使ったならば、世界の時そのものを巻き戻せるかもしれない。そうしたら、死をなかったことにできる。

(あの時の閃きが正しかったのか――だが)

 伝説では、命を捧げることによって時を戻すことができる――いくつかの制約はあるが、エリュシアの死をなかったことにできるのであれば充分だ。
 残された体内の魔力すべてを宝玉に注ぎ込み、時を戻すことを願った。
 きっと成功したのだろう。こうして、時をさかのぼったのだから。
 鏡に向かえば、見返してくるのは幾分若い顔立ちの自分。

(今度こそ、間違えない――約三年分の知識が俺にはある)

 エリュシアが嫁いでくるのは、今から約一年後のこと。それまでの間に、エリュシアを保護したい――まずは、彼女が今、どうしているのかを調べねば。

 父への反旗を翻すにはまだ足りなかったが、ディーデリックにも自分の部下ぐらいいる。
 クラニウス王国へ使いを出して調べてみれば、そこにエリュシアはいなかった。

< 58 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop