奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
(彼女も、記憶を持って巻き戻った……?)

 報告書を見ながら、考える。
 一度目の人生では帝国に嫁ぐまで彼女はクラニウス王国の王宮にいたが、今回の人生では、すでに亡くなったそうだ。
 なんでも、使用人達に心無い仕打ちを受けて、自ら川に身を投げたらしい。

(……死んだ? なぜ?)

 母国で暮らしていた頃、使用人に心無い仕打ちを受けていたという話は聞いたことがある。だが、彼女は自分から死を選ぶような人ではなかった。
 そうだ。そんなことあるはずない。

(遺体が見つかっていないというのなら……希望はある)

 きっと、彼女はどうにかして離宮を離れ、自分で身を立てることにしたのだろう。
 人目のある場所でしか会わなかったけれど、彼女の人生についていくつか聞いた話がある。
 エリュシアの母が魔道具師であったこと。エリュシアも彼女に教えを受けていたこと。
 王女でなかったら、魔道具師になりたかったということ。
 それならば、離宮を出ても生きていけるのではないだろうか。世間知らずであろう彼女が、悪人に騙されてしまう危険性は否定できないが。
 ――ならば。
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