奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
(……うーん、回路をもう少し調整した方がいいかも。でなければ、本体に魔力変換効率を高めるような工夫ができるかしら)

 母も試作はしていなかったから、この魔道具はまだ不完全だ。
 母の顔を思い浮かべながら、さらなる改良点を探し出す。
 こうして調整を繰り返して完成した髪乾燥器は、まずは貴族向けに売り出すことになったのだが、想定以上の高評価だった。
 今までのものよりも軽く小さく、髪を傷めず、しかも速く乾くとあって、貴族や資産家のご婦人だけではなく、男性にも人気が出たのだとか。

「……え? 一人で、二つも三つも買い求めるんですか……?」

 トーマスから聞かされ、エリュシアは目を見開いた。髪を乾かすためのものなのだから、ひとつあれば充分だろうに、

 いや、屋敷の主用、夫人用、子供達用――となるのであれば、一家に複数台あるのはおかしくないが、一人が二つも三つも買うというのはどうなのだ。

「いや、今までのものと違って、デザイン性を高められただろう」
「そうですね……表面に彫刻もできるし、宝石も埋め込めるし」
「それだよ、それ。なんでも、茶会の時に新作を見せあうんだそうだ」
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