奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 こうすることで、魔道具職人である『エリア』を守っているわけだ。

「他の商会が、同じ機能を持つ魔術回路を発明しようとしても、当分時間はかかるでしょうし……」

 髪乾燥器に埋め込んである魔術回路は、解読できないように隠してある。
 いずれは解読されるかもしれないが、国に届けを出しているから、まったく同じものを作るのは法で禁じられている。

「……では、次は何を作る?」
「冷却庫を作ろうと思っています。これで、夏でも食品が傷むのを遅らせられるし、冷たい飲み物を飲むこともできるんです」
「夏場に冷やしたワインを飲めるというわけか!」

 今までは、夏場に冷たい飲み物を飲む機会は限られていた。たとえば井戸や川の水等で冷やすのは、庶民の間でも行われている方法だ。
 だが、どの家にも井戸があるというわけでもないし、川だって、夏になれば水温が上がる場所もある。
 魔術を使える者がいる家では、氷の魔術で飲み物を冷やすこともあるそうだが、それだって限られた人だけ。
 母は夏でも冷たいものが飲みたいと、夏の間でも入れたものを冷やせる箱を作ろうとしていた。

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