奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「お母様の魔術回路ってとても緻密ですごいの。まだ、こちらも試作段階なのですが……」
「なに、欲しがる人はたくさんいるさ。焦らなくていい。ゆっくりと作ってくれ」
「はい!」

 エリュシアが恵まれていたのは、母の遺してくれた設計図がたくさんあったこと。
 エリュシアが母の設計の癖を完璧に呑み込んでいたこと。
 そして、母ほどではないかもしれないが、エリュシア自身、魔道具開発の才能に恵まれてもいる。
 そして、トーマスの後見を得られたことだ。彼が後ろ盾になってくれなかったら、いいように食い物にされていたかもしれない。

 帝国に渡って一年もたつ頃には、魔道具師『エリア』の名は、それなりに広く知られるようになっていた。
 髪乾燥器、冷却庫と続けて発表したあと、エリュシアは加熱器の開発に取り掛かっていた。今料理に使える加熱器はもうあるのだが、厨房に備え付けて使うものだ。
 これを小型化し、野外でも使えるようにするのがエリュシアの目標だった。

(……お母様も、これには苦戦していたみたい)

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