奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 母の遺してくれた設計図には様々な魔道具があるが、エリュシアは、生活が便利になるものを優先で作りたいと思っている。
 今回加熱器を選んだのは、帝国に来るまでの間、食事の用意をするのが大変だったのを見ていたからだ。

「冷却庫の製造が追いつかないよ」

 と、工房に来たトーマスは、喜び半分困った半分の表情だ。
 トーマスの商会が抱えている職人だけでは、魔道具の製作が追いつかなくなってきたそうだ。

「冷却庫は、当面貴族の家でしか使われないのではないかと思っていたけれど……」
「それが、飲食店に広まってな」
「ああ……食材を保管するのにも向いているものね」

 冷却庫に入れておけば、食材の鮮度を保てる。そのため、大量に発注することが多い飲食店でも冷却庫を使いたいという需要があるそうだ。
 いずれはそちらの需要も出てくるのではないかと思っていたけれど、こんなに早いとは想像もしていなかった。

「魔術回路だけ、外注します?」
「それも考えているのだけどねぇ……」

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