奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「君を、保護しようと思っていたんだ。だが、その必要はなさそうだな――魔道具師エリア。君は、この地で生きている。自分の力で」
「……母国からは逃げ出したくても、この国の行く末は見届けたかったのです」

 それと、ディーデリックへの想いも。
 だが、それは口にはしない。今は、そんな場合ではないときちんとわきまえているから。

「……ですが、なぜ、私達は記憶を持ったまま、時を遡ったのでしょう?」

 それは、戻ったと気づいてからずっとエリュシアの中にある疑問だった。
 エリュシアには、そのような能力はない。いや、伝説に残るような大魔術師ならばできるのかもしれないけれど、それは伝説であって現実ではない。

「帝国には、時戻りの宝玉という国宝があるんだ」
「……え?」
「帝国が完成するずっと前から伝わっていたものらしい」

 ディーデリックの説明によると、彼は一度目の人生でエリュシアの死を知った後、すぐに宝物庫に駆け込んだそうだ。
 そして、時戻りの宝玉を使った。
 時戻りの宝玉は、使用者の命と引き換えに、世界の時そのものを巻き戻すらしい。

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