奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
帝国に嫁いで以来、何度も母と暮らしていた頃の夢を見た。母がいなくなってから、この離宮での生活を夢見たことはなかったけれど、きっとこれもまた夢に違いない。
ベッドに戻って横になり、目を閉じてこの世界から抜け出そうとする。
だが、そうしていたのもわずかな時間だった。
「まったく、いつまで寝てるんですか! 起きる時間はとっくに過ぎていますよ!」
キンキンとした女の声が聞こえてきて、エリュシアは閉じていた目を開いた。
目に飛び込んでくる光景は、先ほど見上げた天井とまったく変わっていなかった。
嫁ぐまでを過ごした私室の天井。
起き上がってそちらに目を向ければ、入ってきたのは、四十代の女性だった。
メイドの制服である黒のワンピースに白いドレス。手にしているのは洗面用の水と顔を拭うための布だ。
「まったく、面倒ばかりかけて。本来なら、こんなところにいられる身分じゃないんですからね!」
と、一応王女であるエリュシアに対する敬意をまったく見せないまま、メイドはサイドテーブルにドンと盥を置いた。
「ほら、早く起きてください。私も暇じゃないんですよ」
「……マルタ」
ベッドに戻って横になり、目を閉じてこの世界から抜け出そうとする。
だが、そうしていたのもわずかな時間だった。
「まったく、いつまで寝てるんですか! 起きる時間はとっくに過ぎていますよ!」
キンキンとした女の声が聞こえてきて、エリュシアは閉じていた目を開いた。
目に飛び込んでくる光景は、先ほど見上げた天井とまったく変わっていなかった。
嫁ぐまでを過ごした私室の天井。
起き上がってそちらに目を向ければ、入ってきたのは、四十代の女性だった。
メイドの制服である黒のワンピースに白いドレス。手にしているのは洗面用の水と顔を拭うための布だ。
「まったく、面倒ばかりかけて。本来なら、こんなところにいられる身分じゃないんですからね!」
と、一応王女であるエリュシアに対する敬意をまったく見せないまま、メイドはサイドテーブルにドンと盥を置いた。
「ほら、早く起きてください。私も暇じゃないんですよ」
「……マルタ」