奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「ああ。母親が師匠だというのであれば、もう師はいないのだろう? エリアはまだ若い。信頼できる後見人がいた方がいいと思う。シャリーンならば、いい師を紹介してくれるだろう」
「ありがたいお話でございます! もし、そうしていただけましたら……」
「まかせておけ。そのぐらいの力は、俺にもある」

 それから少し話をしてから、ディーデリックは立ち上がった。
 丁寧に工房の外までディーデリックを見送る。別れ際、彼と視線が絡み合う。それだけで、胸が温かくなるのを抑えられなかった。

 ディーデリックの訪問から、一週間後。
 庶民の訪問着としては上質のものを着用したエリュシアは、魔道具師ギルドの前にいた。
 エリュシアの隣には、これまたお忍びの服装をしたディーデリックがいる。

「まさか、こんなに早く魔道具師ギルドの長にお目にかかれるとは思ってもいませんでした」
「君の母上の師匠だったのだろう? それに、魔術が絡んでいるのならば、彼女にも話を聞く必要がある。君の母上の名前を出したら、すぐに時間を取ってくれたんだ」

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