奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 一瞬エリュシアと母を見間違えたことはなかったようにして、彼女はエリュシアを見つめてくる。

「解いてくれ」

 ディーデリックに言われ、エリュシアは無言で姿変えの魔道具を停止させた。改めてエリュシアを見たシャリーンは、みるみる目を潤ませる。

「ああ、そんな……」

 両手で口を覆ってしまった彼女は、エリュシアが母の娘であると改めて理解したようだった。
 魔道具を起動していても、母の名を口にしたほどだ。本来の姿を取り戻した今、母とエリュシアの類似点を見つけ出すのは難しい話ではない。

「ですが、なぜ……? エリュシア王女殿下は、亡くなったと……生きていたなんて」
「……逃げたんです。あのままでは、殺されると思ったから」

 エリュシアの物言いに、彼女はいぶかし気な表情になった。

「殺される……? それは、どういう意味……?」

 エリュシアは答えることなく目を閉じた。かわりに、ディーデリックが口を開く。

「……時戻りの宝玉について、あなたは知っているか?」

 ディーデリックの言葉に、はっとした様子を見せる。それから立ち上がったかと思うと、部屋の隅の方に向かった。

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