奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
(……遮音の魔道具、かしら)

 かすかなフォン……というような空気の振動をエリュシアは感じ取った。
 遮音の魔道具が起動されていれば、この部屋の中でどんな会話がかわされたのか外に漏れることはない。
 戻ってきたシャリーンは、一瞬の動揺がなかったようにして穏やかな笑みを浮かべた。

「以前、皇帝陛下に見せていただいたことがあります。解析を頼まれたのですが、私にはできませんでした。あれは、我々の持つ魔道具とは、根本から異なるものです」

 当代一と呼ばれる魔道具師でも、帝国の秘宝の謎を探り当てるのは無理だったらしい。
 ディーデリックは、その答えも想定していたようだ。もしかしたら、事前に情報を持っていたのかもしれない。

「俺は、一度使ったことがある」

 シャリーンは、目を見張った。きっと、今日の彼女は驚くべきことばかり聞かされているのだろう。

「……父は、あまりにも我欲に走りすぎた。あなたも知っているだろう。重税を課し、気に入らない者は痛めつけ、近隣諸国に無理難題を言い渡す――我が国の軍事力を考えれば、小国はそれを拒めないだろう」

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