奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「どうやら、正妃はそれが気に入らなかったようね。それでも貴族の後ろ盾を持つ者には、手を出すわけにはいかないと認識するだけの冷静さを持ち合わせていたようだけれど……」
「なるほど」

 ため息が出た。
 母は、帝国から王国に渡った平民だ。
 当然、クラニウス王国に有力な後ろ盾がいるはずもない。
 それに、母が誰かに助けを求めたとしても、国境を越えていればなにかと手を出しにくいのも事実。
 実際、母から依頼を受けたシャリーンも、エリュシアを救出しようとして手を出しあぐねていたという。

「母なら殺しても、うるさくいう人はいない。きっとそういうことでしょうね」

 ぎゅっと唇を噛み締める。
 口の中に、鉄の味が広がった――あまりにも強く噛んでしまったものだから、唇が傷ついたのだろう。

「――許さない」
「……これを話したのは、あなたには真実を知ってほしかったから。あなたを救えなかった私の罪も」

 母の敵を取りたい――今すぐにでも王国に飛んでいきたい。
 一気に頭に血が上る。怒りで、頭の中が一杯になった。
 だが、ディーデリックに協力を誓ってしまった。

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