奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「エリュシア――俺が、君に手を貸そう」

 予想外のディーデリックの言葉に、彼を見上げる。彼は、エリュシアを安心させるような笑みを浮かべて、こちらを見ていた。

「これでも、帝国の皇太子だ。多少の融通は利かせられる――だから、慎重に動こう。俺の計画と君の計画、どちらが失敗しても命取りだ」

 その言葉で、エリュシアは冷静さを取り戻した。
 そうだ。怒りで視界を真っ赤に染め上げている場合ではない。
 エリュシアの敵はふたりになった。敵を漏らしたくなかったら、慎重に動かなくては。

「さて、どこから始めるか」

 眉を寄せたディーデリックは、険しい表情になった。

「……エリュシア殿下。あなたは今、トーマスの世話になっているのでしょう? 彼にも真実を話すべきだと思うわ」

 シャリーンの言葉に、ディーデリックとエリュシアは顔を見合わせた。
 トーマスはただの商人だ。
 彼が、時戻りの事実を知って、平静でいられるだろうか。

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