領地開拓のために捨てられ令息を拾ったら、わんこ系イケメンになって懐かれました!
「私が欲しいのは地属性の力だ」
「あ、そっち」
 アミュエルは拍子抜けしたような顔をしたあと、はっとする。

「ダメです、渡しません!」
「治安維持に地属性は必要だ。防御のための壁を作るときなど、どれだけ捗るか」

「今まで放っておいたくせに!」
「知らなかったんだ。知ったからにはもう逃さない」
 獲物を狙う目のハリアードに、アミュエルは真っ向から睨み返す。

「絶対に渡しません」
「や、やめてください、僕は行きません、ここに残ります」
 直後、アミュエルは勝ち誇ってハリアードを見た。彼は悔しそうに唇をゆがめる。

「僕を助けてくれたのはアミュエル嬢です。恩を返したいんです」
「舞踏会のときの茶番を言っているのか。あれを本気にしているのは君たちだけだ」

「は?」
「王子もあの令嬢も本気だった。が、見ていた貴族たちは流行の芝居を再現した余興だと思っていたようだぞ。だから最後には拍手が起きていた」

「そんなお芝居が都では流行っていたのですか」
 アミュエルは目を丸くした。
 しかし王子たちは本気だったのなら、セシルに恥をかかせようとしていたのは事実なのだ。性格が悪いとしか思えない。

「余興のていになったのは王家にとって都合が良かった。だが、すでに王子が手を回していたため、実際に婚約破棄になったと聞いた。権力による専横はいかがなものかと思ったが、セシル殿を手に入れるためには都合がいい」
 にやりと笑う彼に、セシルは身を守るように自分を抱きしめた。
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