領地開拓のために捨てられ令息を拾ったら、わんこ系イケメンになって懐かれました!
王家の広間で催される舞踏会。盛大な社交の場であるとともにお見合いの場でもある。貴族の令嬢と子息が結婚にふさわしい相手であるかと値踏みしあう、静かなバトルが繰り広げられるのだ。
アミュエルは十八歳、結婚の適齢であるが、結婚はあきらめている。
ひとり娘だから婿に来てほしいが、貴族の次男、三男は都会の令嬢を狙っている。自分は辺境貴族の娘である時点で出遅れている。さらに男爵という身分、流行に疎いなどマイナス点ばかりが加算されていく。
都会の令嬢は、なるほど美しい装いの女性ばかり、メイクも上品で隙がない。
自分はというと、どこがどうと説明できないが、あか抜けない。オシャレをしてきたつもりでも大ぶりのレースは令嬢たちのそれと違って繊細さに欠けるし、ドレスのリボンひとつとってもなんだか形が違う。
ふと令嬢が振り返り、自分を見て友人らしき令嬢とこそこそ話し、くすくすと笑う。
じろじろ見ていた非礼はあるけど、笑わなくてもいいじゃない。
アミュエルがぶすくれていると、隣にいた父に舞踏会の曲目を差し出された。招待状に同封されていたそれには、ダンスを申し込みたい相手が書き込まれている。
「主に水属性の魔力持ちを選んだが、それ以外でも金持ちがいれば」
「水属性なら日照りの対処してもらえそうね。魔力量によっては大雨のときの水害を防げるかも? だけどお金があれば堤防は人力で作れるし、お金は正義よね」
アンシオール王国では魔力を持つ人間が生まれやすい。その属性は地、水、火、風の四つ。派手に見える水、火、風が若者には人気だった。
「どの属性でも結局は魔力量のほうが重要だけど……できれば地属性がいいわね。レアだけど」
アミュエルは頬に手を当て、ため息をついた。
「うちは田舎だが、娘だけは自慢できる。政略結婚の道具にするつもりはないが、アミュエルのメガネにかなう男がいれば、やぶさかではない」
「だから優良物件は売れたあとだよ、残ってるのは、ああいう人とか」
アミュエルは十八歳、結婚の適齢であるが、結婚はあきらめている。
ひとり娘だから婿に来てほしいが、貴族の次男、三男は都会の令嬢を狙っている。自分は辺境貴族の娘である時点で出遅れている。さらに男爵という身分、流行に疎いなどマイナス点ばかりが加算されていく。
都会の令嬢は、なるほど美しい装いの女性ばかり、メイクも上品で隙がない。
自分はというと、どこがどうと説明できないが、あか抜けない。オシャレをしてきたつもりでも大ぶりのレースは令嬢たちのそれと違って繊細さに欠けるし、ドレスのリボンひとつとってもなんだか形が違う。
ふと令嬢が振り返り、自分を見て友人らしき令嬢とこそこそ話し、くすくすと笑う。
じろじろ見ていた非礼はあるけど、笑わなくてもいいじゃない。
アミュエルがぶすくれていると、隣にいた父に舞踏会の曲目を差し出された。招待状に同封されていたそれには、ダンスを申し込みたい相手が書き込まれている。
「主に水属性の魔力持ちを選んだが、それ以外でも金持ちがいれば」
「水属性なら日照りの対処してもらえそうね。魔力量によっては大雨のときの水害を防げるかも? だけどお金があれば堤防は人力で作れるし、お金は正義よね」
アンシオール王国では魔力を持つ人間が生まれやすい。その属性は地、水、火、風の四つ。派手に見える水、火、風が若者には人気だった。
「どの属性でも結局は魔力量のほうが重要だけど……できれば地属性がいいわね。レアだけど」
アミュエルは頬に手を当て、ため息をついた。
「うちは田舎だが、娘だけは自慢できる。政略結婚の道具にするつもりはないが、アミュエルのメガネにかなう男がいれば、やぶさかではない」
「だから優良物件は売れたあとだよ、残ってるのは、ああいう人とか」