領地開拓のために捨てられ令息を拾ったら、わんこ系イケメンになって懐かれました!
「ならばお前をルグレーに追放する! 公務員としての地位はせめてもの慈悲として特別に辞職扱いとしてやる。存分に苦しむがいい!」
 芝居がかった動きに、会場からは拍手喝采が起きた。

 これ、拍手する場面なの?
 アミュエルは納得がいかず、首をかしげた。

 それにしても、領地をもらっている人間がいる目の前で僻地だの苦しめだの、王都の人間はちょっとひどくないだろうか。
 その目がふとハリアードをとらえる。
 冷ややかなまなざしだった彼は、セシルに鋭い目を向けた。

 なんか嫌な感じ。
 アミュエルはひっかかりを感じつつも、それを胸にしまった。



 数日後、アミュエルは父と共にセシルを連れて領地へと戻った。
 道中の馬車の中で、彼にこれまでのことを尋ねると、ぽつぽつと話してくれた。

 セシルは子爵令息。現在十九歳である彼が地属性だと判明したのは幼い頃。その頃から魔力量は膨大であることがわかっており、父親にそれを内緒にするように言われたという。
 そうして彼の父は伯爵の娘、フォリーナ・レイヴィス・エリントンとの婚約をとりつけた。エリントン伯爵は再開発をしたがっており、そのためには地属性が欠かせないのだという。

 だが、フォリーナは婚姻を嫌がった。地味な地属性より、もっとイケメンで派手な属性の男性との婚約を求めていたからだ。

 フォリーナはセシルに八つ当たりをした。
 最初はお菓子をぶつける程度だったのが、やがては人を使っての暴力的なものに変化し、お茶会に呼んではいたぶった。

 ボールをぶつける的にされるのはまだよいほう、生きている虫を食べろと強要されたり、裸で出かけて花を買ってこいなどと命令されたりもした。断ると召使に押さえつけられ、フォリーナに鞭うたれた。
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