恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 彼の逞しい胸に頬を寄せて「ありがとう」といえば、額に唇が触れた。

「大丈夫です。クラレンス辺境伯家はリリーを歓迎しています。自信を持ってください」

 優しい声にほっと安堵しながら頷き、アルフレッドの体温を感じながら目を閉じる。

「それとね……」
「なんでしょうか?」
「カーラのお腹に赤ちゃんがいるんだって」
「そのようですね。レスターから聞いています」
「知ってたの!?」

 驚いて顔を上げると、当然のように「はい」と頷かれた。

「仕事は休むよういっているのですが、動いている方が元気な子が生まれるのだといって、休まないので困っていたところです」
「そうだったのね」
「三年目でやっと授かったのに、もしものことがあったらと、レスターも困り果てているのですが」
 
 言葉を濁したアルフレッドは、それももう一度ヴァネッサ様と話し合ってみるといった。私が気に病むことではないと。

「……お休みを取らせるだけでいいのかしら?」
「リリー?」
「だって、お仕事が休みになったら、カーラは昼間、一人でレスターさんの帰りを待つようになるのよね。もしかして、不安だからここにいたいんじゃ……」
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