恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 そうよ。だって三年も授からなかった赤ちゃんよ。一番不安に思っているのはカーラに決まっているじゃない。
 私だって、もしも赤ちゃんを授かって、同じような立場だったら──アルフレッドの帰りを一人で待つと想像したら怖くなった。

 部屋で一人待っている間になにか起きたら、一人でどうにかしないといけないのよ。それだったら、お屋敷にいた方がたくさんの手があるじゃない。

「ねえ、カーラを私の教育係には出来ない?」
「教育係?」
「赤ちゃんも生まれるんだから、色々と、心構えとか教えてもらえるし……それを理由に私の側に置けば、少しは休ませられるわ」
「なるほど。教育という名目で、お茶会の用意をするのもいいですね」
「そうよ。そうしましょう! ヴァネッサ様にそうお伺いを立てて──」

 言葉をいい終わる前に、肩が強く抱きしめられた。そうして耳元で「ご立派です」と嬉しそうな声が囁く。

「……なんのこと?」
「クラレンス辺境伯夫人として、仕える者たちを見守られているなと」
「そんな大袈裟ね。私は、ただ……」
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