恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
 リリーの好奇心に満ちた顔を思い出し、思わずため息をついた。
 私の側にいるという約束が、ここにきて足枷になってしまうとは。

「もう一度、俺が出向いて話を聞いて来よう。この前は、長老とやらに会わせてもらえなくてな」
「そうなのか?」
「ああ、タイミング悪く昼寝中だといわれた。老人を叩き起こすわけにもいくまい。無理をさせて死なれでもしたら、後味も悪い」
「……レスター、色々と任せてすまない」

 本来であれば、調査団の上役を向かわせるところだろうが、今、身動きが取れそうにもない。

 一年で一番賑わう収穫祭前とあって、領地内で商人たちの交流が賑わい始めている。例年、それに乗じて悪だくみをする者も現れるため、各地の警備強化に人員を回している状況だ。おかげで遺跡調査は最小限で行うしかない。

 こんなことを知ったら、リリーのことだ、自分で行くと言い出しかねないな。話を聞くだけならできるとか、手助けをしたいとか。
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