恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「キスをしたいところが多すぎて、選べなさそうなので」
「そ、それは……別に、男性に微笑まなくても、アルフレッドがしたいなら……」

 ごにょごにょと言葉を濁すと、アルフレッドが少し笑った。もしかして、からかわれたのかしら?
 意外と意地の悪いところもあるのかもしれない。でも、そんなところを見せてくれるのも、ちょっと新鮮でいいわ。なんて思っていたら、もう一度、耳元で名を呼ばれた。
 心地よい低音がくすぐったい。

「リリー、それなら今夜、貴女の素肌にキスをしていいですか?」
「……え?」
「レスターに微笑んでましたよね?」
「そうだったかしら?」

 いわれてみれば、笑みは浮かべていたと思うわ。でもそれは社交辞令というか、もう習慣みたいなものだけど。
 小首を傾げると「約束ですよ」といって、指先にキスをされた。
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