恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「見た目ほど暑くないので、大丈夫です」
「まあ……どこか、体調が悪いのですか?」
「元気ですから、ご心配には及びません」
「だけど、手遅れになったら大変だわ。一度医者に診てもらいましょう」
「いっ、医者は大袈裟です!」

 このままでは、キスの痕だらけの身体を医者に見られることになってしまう。
 血の気が引く思いがして慌てると、ヴァネッサ様はますます心配して「頼っていいのですよ」と言い出した。
 ああ、これはもう隠しようがないのかもしれない。

「……ヴァネッサ様、それにカーラ、ここだけの秘密にしていただけますか?」
「私は席を外しましょうか」
「カーラにも聞いて欲しいというか、相談に乗って欲しいというか……」

 意を決し、声を少し小さくして尋ねると、ヴァネッサ様は私の座るカウチへと移動してきた。
 しわの刻まれた手が、私の指にそっと重ねられた。温かくて柔らかい指先から優しさが伝わってくる。
 カーラも、私の傍に歩み寄ってきた。
 今、部屋には三人しかいないけど、これで小声で話しても問題ないわ。

「リリーステラ、なにか心配事でもあるのですか?」
「あの、恥ずかしいお話なのですが……」
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