恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
体を起こすと、大きな体が覆いかぶさるようにして、私を強く抱きすくめた。震える声が耳元で私を繰り返し呼ぶ。
「リリー……目が覚めてよかった」
心の内で本当にと呟いたのは、秘密にしよう。自分でもどうなるかわからなかったと知られたら、何時間もお説教されそうだもの。
アルフレッドの背中を撫でながら「ありがとう」といえば、肩が痛いくらい抱きしめられた。
温かい腕の中でふと気付いた。ここを訪れた時に感じた嫌悪感のような魔力が、綺麗さっぱりと消えている。それに、あの幻影もない。
少し冷たい風を感じて首を巡らせれば、窓の向こうに青空が見えた。
ここは、たぶん私が放り出された最上階なのだろう。
「……私は悲しくない人、なんだって」
「悲しくない人?」
「この塔に来る人間は悲しみを抱えていて、塔はそれを癒そうとしていたの。でも私は始めて訪れたあの日、塔から放り出されたでしょ。ちっとも悲しくなかったから、ここに来るべきじゃないってことだったのかもしれないわ」
「リリー……目が覚めてよかった」
心の内で本当にと呟いたのは、秘密にしよう。自分でもどうなるかわからなかったと知られたら、何時間もお説教されそうだもの。
アルフレッドの背中を撫でながら「ありがとう」といえば、肩が痛いくらい抱きしめられた。
温かい腕の中でふと気付いた。ここを訪れた時に感じた嫌悪感のような魔力が、綺麗さっぱりと消えている。それに、あの幻影もない。
少し冷たい風を感じて首を巡らせれば、窓の向こうに青空が見えた。
ここは、たぶん私が放り出された最上階なのだろう。
「……私は悲しくない人、なんだって」
「悲しくない人?」
「この塔に来る人間は悲しみを抱えていて、塔はそれを癒そうとしていたの。でも私は始めて訪れたあの日、塔から放り出されたでしょ。ちっとも悲しくなかったから、ここに来るべきじゃないってことだったのかもしれないわ」