恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「ベッドでお休みになられますか?」
「……大丈夫よ。ちょっと、驚いただけだから」
「ご無理はなさいませんように」
「ありがとう……アルフレッド、お父様に連絡をするのでしょ? 私は大丈夫だから」

 気を遣わせまいと、精一杯の笑みを浮かべようとする。だけど、表情筋が強張っていると自分でわかるくらい、口元が引きつった。

「ご用がすみましたら、すぐに参ります」

 手袋に包まれた大きな手が、私の両目を覆うように被さる。

「しばらくこちらでお休みください」

 優しい声が、目を閉じて良いのだと教えてくれた。

 頬を我慢していた涙が伝っていく。それを優しくぬぐわれるのを感じながら「ありがとう」といえば、目蓋を下ろした私に「いって参ります」と優しい声が告げた。

 いく人もの足音が遠ざかっていく。
 たぶん、気を遣ったアルフレッドが、控えていたメイドたちを下がらせたのだろう。
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