恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「失礼します、お嬢様」

 優しい声がかけられ、白いハンカチを手にしたアルフレッドが私の頬にそっと触れた。
 優しく涙のあとがぬぐわれる。

 ああ、そうだったわ。
 アルフレッドはいつだって私を見守ってくれていて、いつも、優しくて──あの日だって、泣き顔を周囲に見られないよう注意を払い、私を学園から連れ出してくれたわ。
 
 次々に思い浮かぶのは、寄り添ってくれていたアルフレッドの静かな表情。変わらぬ優しさ。それは傷ついた心に染み渡る。まるで紅茶に溶ける甘い生クリームのようにじんわりと。

「涙が止まられて良かったです」
「アルフレッド……あ、あのね……」
「ですが、私との結婚は少々考えられた方がよろしいかと思います」
「……え?」

 浮上し始めた気持ちが、すとんと落ちた。
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