恋を知らない侯爵令嬢は裏切りの婚約者と婚約解消し、辺境地セカンドライフで溺愛される
「……この思いを隠し、長年お仕えして参りました。きっと、リリーステラ様の中で、私は侍従でしかありません。その私についてくるなど……」

 願ってはいけない。

 静かに首を振り「夢物語です」と呟けば、ロスリーヴ侯爵は「どうだろうな」といい、ブランデーグラスに手を伸ばした。

「夢物語だというなら、それでもいい。もしもだ、お前にとっての夢が叶うなら、どうする?」

 穏やかな声に、息を呑んだ。
 もしも夢物語が叶うなら……願ってもいいのだろうか。

 手袋に包まれた指を握りしめ、微笑むリリーステラ様のお姿を脳裏に描く。
 叶わぬ夢だが、答えは決まっている。

「生涯をかけて、お守りします」

 どんな形であれ、私が願うのはリリーステラ様の幸せだけだ。
 私の答えを聞いたロスリーヴ侯爵は、再び「わかった」と頷かれた。
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